走査電顕の目・8
急性骨髄性白血病
小川 哲平
1
1慶大内科
pp.921-922
発行日 1973年8月15日
Published Date 1973/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908191
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急性骨髄性白血病は,本邦において最も頻度の高い白血病である.発熱出血傾向,貧血などの症状をもって医師を訪れる場合が多いが,ときには抜歯の際に激しい出血が持続したり,また虫垂炎様の腹痛があり白血球数の異常な増加により発見される場合もある.
白血病の診断は,白血球数の多少にあるのではなく,白血病細胞の出現にある.その特徴としては,大小不同,形や核の不整,大きな核小体,核と細胞質の発育が並行しないこと,アウエル小体や異常顆粒の出現などがあげられる.定型的な場合は末梢血および骨髄穿刺液の塗沫ギムザ標本で,異常な細胞が優位を占め,その細胞が骨髄系の幼若細胞であることにより確認される.骨髄芽球をいきなりリンパ芽球や単芽球と区別することはむずかしい場合もあるが,アウエル小体の存在,前骨髄球などの未熟な骨髄系細胞との間に移行像が認められれば,比較的容易に骨髄芽球を識別できる.さらにペルオキシダーゼ反応を行なうとほとんど鑑別できるが,鑑別不能の場合は超生体染色,位相差顕微鏡による観察,墨粒貧食能,運動性検査,ズダン・ブラック染色,PAS反応,非特異的エステラーゼ反応などの細胞化学的な反応,電顕所見,リソチーム値などを行なう必要がある.
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