特集 小児造血器腫瘍の特色 ~分子的理解から治療開発まで~
1.小児急性リンパ性白血病の分子的理解と臨床応用
今村俊彦
1
Toshihiko Imamura
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科 小児科学 講師
pp.1507-1512
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201611023
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小児の急性リンパ性白血病(ALL)は,発症や治療反応性に関わる分子メカニズムが最も精力的に研究されてきた疾患である。しかし,これまでの治療開発は,こうした研究から得られた知見に基づくというよりも,欧米の大規模臨床試験をベースに,小児ALLをひとまとめに治療することで,小児ALL全体に適した治療法を見出してきた。これからの小児ALLの治療開発では,すでに治療成績の向上した頻度の高いサブグループとは異なる,まれな“ハイリスク例”の白血病発症や薬物耐性に関わる分子基盤を解明し,症例特異的な治療法の開発に生かしていくことが求められる。