特集 遺伝子治療の臨床展開
2.遺伝性白質ジストロフィーに対する造血幹細胞遺伝子治療
大橋十也
1
Toya Ohashi
1
1東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 遺伝子治療研究部・小児科 教授
pp.613-623
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201505029
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遺伝性白質ジストロフィーは,大半の疾患は治療法がないが,先天代謝異常症でもあるKrabbe病,異染性白質変性症,副腎白質ジストロフィーでは,それらの中枢神経障害に造血幹細胞移植が効果がある。しかしながら,造血幹細胞移植はドナーを得られないことも多く,また同種移植であるため,生着のために強力な前処置を必要とする。造血幹細胞を標的とした遺伝子治療は,それらの問題を回避できる。最近は異染性白質変性症,副腎白質ジストロフィーで,レンチウイルスベクターを用いた造血幹細胞を標的とした遺伝子治療が良好な結果を得ている。