特集 遺伝子治療の臨床展開
1.原発性免疫不全症に対する造血幹細胞遺伝子治療
小野寺雅史
1
Masafumi Onodera
1
1国立成育医療研究センター研究所 成育遺伝研究部 部長
pp.605-612
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201505021
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ここ十余年にわたる造血幹細胞遺伝子治療の臨床成績は,本治療が原発性免疫不全症に対する有効な治療法であることを証明してきた。ただ,およそその治療概念が,使用する細胞種の違いこそあれ,正常に機能する造血幹細胞の移植であることを考えると,次なる評価は造血幹細胞移植との比較であり,そして,それに基づく実施基準の設定であろう。確かに,現時点で移植医療と比較・検討するだけの十分な症例数を遺伝子治療は有していないが,これまでに行われてきた100例を超える治療成績を考えたとき,造血幹細胞遺伝子治療はHLA適合ドナーのいないPID患者に対し,その侵襲性を含め,HLA不適合移植が行われる前に実施が検討されるべき治療法であると考えられる。