特集 白血病幹細胞
7.白血病幹細胞を標的とした免疫細胞治療 ~遺伝子改変T細胞を用いた治療戦略を中心として~
安川正貴
1
Masaki Yasukawa
1
1愛媛大学大学院 医学系研究科 血液・免疫・感染症内科学(第1内科) 教授
pp.1787-1795
発行日 2014年11月30日
Published Date 2014/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201412073
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がん細胞が免疫機構から逃避する巧妙な仕組みが明らかにされ,有効ながん免疫療法の確立にはこの克服が大きな課題であった。最近,抗CTLA-4抗体や抗PD-1/PD-L1抗体による免疫チェックポイント制御によって,その課題を克服できることが示された。これらの抗体は,既にメラノーマに対して臨床の場で使用されている。がん免疫におけるもう一つのブレークスルーは,T細胞レセプターやchimeric antigen receptor(CAR)などによる遺伝子改変T細胞の驚くべき抗腫瘍効果である。本稿では,このようながん免疫療法の最近の目覚ましい進展を概説し,化学療法抵抗性の白血病幹細胞を標的とした免疫細胞治療を提示し,難治性白血病を治癒に結び付ける治療戦略について議論したい。