特集 CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法の実用化へ向けて
8.遺伝子改変T細胞療法の臨床開発で考慮すべきこと
籠谷勇紀
1
,
平野直人
2
Yuki Kagoya
1
,
Naoto Hirano
2
1プリンセスマーガレット がんセンター Postdoctoral fellow、トロント大学
2プリンセスマーガレット がんセンター Senior Scientist、トロント大学
pp.1003-1008
発行日 2017年6月30日
Published Date 2017/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201707083
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養子免疫療法(adoptive immunotherapy)は,T細胞の特異的な抗原認識に伴う細胞傷害活性能を利用して悪性腫瘍細胞,ウイルス感染細胞などを選択的に攻撃させる治療法である。これまでの臨床試験において,従来の治療が無効の難治性疾患に対して有望な臨床効果が得られている一方,“細胞”を用いた治療法であるがゆえに,臨床応用を目指す上でこれまでの薬剤とは異なる固有の課題がある。本稿では特に,外的にT細胞に腫瘍抗原を認識する受容体を導入して悪性腫瘍に対する治療を行う遺伝子改変T細胞療法について,最新の知見を概括しながら,今後治療効果をさらに上げると同時に安全性を高めていく上での要点について述べる。