特集 免疫制御によるがん治療
1.抗腫瘍免疫応答の総合的な制御
谷口智憲
1
,
河上裕
2
Tomonori Yaguchi
1
,
Yutaka Kawakami
2
1慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 細胞情報研究部門
2慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 細胞情報研究部門 教授
pp.1597-1605
発行日 2014年10月30日
Published Date 2014/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201411021
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がん細胞は抗原性を多少は有するが,臨床で発見される段階では免疫編集を受けた後であり,免疫抵抗性を獲得している。抗腫瘍免疫応答は,このがんの抗原性と免疫抵抗性の総和であるが,これは遺伝子変異などのがんの性質の違い,および環境因子や体質で影響される個々人の免疫機能の違いで規定されており,患者個々人で様々である。患者の抗腫瘍免疫応答を評価できるマーカーを開発し,適切に免疫状態を評価し,様々な免疫療法,化学療法から最適な治療の組み合わせを選択する個別化療法が期待される。