特集 最新のがん免疫療法
2.がんの免疫微小環境の制御
河上裕
2
,
谷口智憲
1
,
藤田知信
2
1慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 細胞情報研究部門 教授
2慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 細胞情報研究部門
pp.1051-1055
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604071
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がん細胞は多様な機序により,免疫から逃避し,がん微小環境では免疫抑制状態が形成されている。がんの免疫病態には,がん細胞の遺伝子異常,患者免疫体質,環境因子などで規定され,個人差が大きく,広くがん治療の効果に関与する。免疫抑制機構には,がん細胞の遺伝子異常・シグナル亢進を起点とする免疫抑制と,治療前から誘導されている抗腫瘍T細胞を起点とする免疫抑制(Adaptive resistance)が存在する。後者としてPD-1/ PD-L1(programmed cell death-1/programmed cell death ligand-1),IDO(indoleamine-2,3-dioxygenase),制御性T細胞などがあり,その阻害や除去は,多くのがん種でがんの排除を可能にすることが示唆されている。個々の症例における免疫状態の評価と,適切な免疫制御による効果的な個別化複合がん免疫療法の開発が期待されている。