特集 CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法の実用化へ向けて
1.CAR-T細胞療法のコンセプトと開発の歴史
加藤大貴
3
,
谷口智憲
1
,
河上裕
3
Daiki Kato
3
,
Tomonori Yaguchi
1
,
Yutaka Kawakami
3
1慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 細胞情報研究部門 講師
3慶應義塾大学医学部 先端医科学研究所 細胞情報研究部門
pp.943-949
発行日 2017年6月30日
Published Date 2017/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201707023
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,腫瘍表面抗原を認識する抗体とT細胞のシグナルドメインからなるキメラ抗原受容体(CAR)をT細胞に遺伝子導入し,投与するCAR-T細胞療法の臨床開発が目覚ましい進展を遂げている。T細胞に腫瘍抗原特異性を付与するためにCARが開発され,さらに,その改良によりCAR-T細胞に増殖能や生存能,サイトカイン産生能,浸潤能の向上,安全性の向上などが付与されてきた。これまでに,様々ながん種に対しCAR-T細胞療法の臨床試験が実施され,特にB細胞性造血器腫瘍に発現するCD19を標的としたCAR-T細胞療法では,持続的な完全寛解を含む劇的な臨床効果を示し,大きな注目を浴びている。