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特集 腎移植2023:最新の動向とトピックス
トピックス
抗ドナー応答免疫モニタリングの実践
Immunemonitoring of anti-donor response in practice
谷峰 直樹
1,2
,
田中 友加
1
,
大段 秀樹
1
TANIMINE Naoki
1,2
,
TANAKA Yuka
1
,
OHDAN Hideki
1
1広島大学大学院医系科学研究科消化器・移植外科学
2呉医療センター・中国がんセンター外科
キーワード:
免疫モニタリング
,
抗ドナー応答
,
MLR
Keyword:
免疫モニタリング
,
抗ドナー応答
,
MLR
pp.780-783
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001125
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はじめに
現在,腎移植が末期腎不全の標準的治療として確立されたのは,移植免疫応答の理解と免疫抑制療法の発展によるところが大きい。今日までのたゆまない臨床研究により,術前クロスマッチ検査による抗ドナー抗体の検出や,カルシニューリン阻害薬を主体としたT細胞応答を特異的に制御可能な免疫抑制薬の使用が可能となり,拒絶反応制御,長期臓器生着を比較的に安定して得ることができるようになった。一方で,経験則に基づく免疫抑制療法の実践を通して,いまだ急性拒絶反応を発症する症例や中長期の抗ドナー抗体の産生に続く慢性抗体関連拒絶が生じる症例を経験し,画一的な免疫抑制療法の限界を感じることも少なくないのではないだろうか。実臨床では,逸脱酵素や腎機能マーカー,病理検索などグラフト障害を評価する手法を用いて移植片に対する免疫応答を推察し,ウイルス感染〔サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV),BKポリオーマウイルス(BK polyomavirus:BKV)など〕動態から相対的に過剰免疫状態などを推察することで,個々のリスクに応じて免疫抑制薬を調整している。しかし,直接的な抗ドナー応答の評価については,標準化された方法はまだ普及していない。広島大学消化器・移植外科では,リンパ球混合試験をフローサイトメトリーで定量的に解析する非侵襲的な免疫モニタリングを提唱し,臨床試験レベルで実践してきた。本稿では,筆者らが行ってきた抗ドナー応答モニタリングの経験を共有する。
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