特集 iPS細胞への期待
2.iPS細胞を用いた血液製剤の人工生産
中村幸夫
1
Yukio Nakamura
1
1独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター 細胞材料開発室 室長
pp.193-199
発行日 2014年1月30日
Published Date 2014/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201402031
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輸血用の血液製剤は,現在は完全に献血に依存している。少子高齢化に伴う献血者の相対的な不足を補うために,血液製剤の少なくとも一部でも人工的に生産が可能となれば,大きな福音となる。従来は血液幹細胞から赤血球などを人工生産する手技手法は開発されていたが,血液幹細胞を随時大量に入手できるような供給源はなく,実際の応用には障壁があった。iPS細胞は,倫理面でES細胞よりもはるかに樹立し易く,ES細胞と同様な不死化細胞株で恒常的に大量培養が可能であり,血液製剤を人工生産するための非常に魅力的な材料である。