最新基礎科学/知っておきたい
1滴の血液からiPS細胞
関 倫久
1
,
湯浅 慎介
1
,
福田 恵一
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
pp.354-357
発行日 2011年4月25日
Published Date 2011/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101965
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■はじめに
人工多能性幹細胞(iPS細胞)は,人工的に作製された幹細胞であり,生体内のどのような細胞にでも分化可能な細胞である.近年,再生医療への応用が大きく期待されているが,臨床応用に際して細胞採取の侵襲性や樹立の際のホストゲノムの損傷などの問題点があった.そこでわれわれは臨床の現場で患者からiPS細胞を樹立するために,リンパ球の一つであるT細胞と,特殊な遺伝子の運び屋であるセンダイウイルスを組み合わせることにより,わずかな血液からゲノムに遺伝子を傷害することなくiPS細胞を作製することに成功した.本稿ではこの新たなiPS細胞樹立法について概説する.
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