特集 巨核球形成・血小板産生のメカニズムとその異常
3.iPS細胞の誕生と血小板作製の意義
江藤浩之
1
,
堂田丈明
2
koji Eto
1
,
Takeaki Dohda
2
1京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 教授
2京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 研究員
pp.331-337
発行日 2013年2月28日
Published Date 2013/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201303331
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2012年のノーベル賞医学・生理学部門は,ジョン・ガードン博士,山中伸弥博士の2名に授与された。その受賞理由は“成熟細胞が初期化され多能性をもち得ることの発見に対して”である(Nobelprize.orgより)。すでに50年も前に実験が成功していた人為的な“初期化”は,長い間人々に忘れ去られていた時期がある。しかし,山中らが2006年に成功した人工多能性幹(induced pluripotent stem:iPS)細胞の作製は瞬く間に世界を圧巻し,ガードン博士が扉を開いた新しい学問領域の素晴らしさを改めて世界中の人々に証明することになった。本稿では,iPS細胞の登場以来,筆者らが所属している血小板造血研究領域に及ぼした波及効果の実例を紹介する。