特集 アレルギー疾患の将来展望 ~発症率の推移から望ましい治療薬の今後など~
Ⅱ.新規薬剤の登場とその位置づけ
1.成人喘息
長瀬洋之
1
Hiroyuki Nagase
1
1帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学教授
pp.1278-1286
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.20837/32018101278
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
重症喘息において,2型炎症を標的とした分子標的薬の選択肢が増えており,抗IgE(immunoglobulin E)抗体,抗IL(interleukin)-5抗体と抗IL-5受容体α抗体(IL-5Rα)が承認されている。さらに,抗IL-4Rα抗体の臨床応用が近く,抗TSLP(thymic stromal lymphopoietin)抗体についても第Ⅲ相試験が進行中である。分子標的薬の選択に有用なバイオマーカーは未確立であるが,抗IL-5療法は血中好酸球数が多いほど効果が大きい。課題は,非2型炎症に対する分子標的薬が未確立であることと,長期予後や喘息の自然史を修飾できるかに関する知見が十分でないことにある。