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連載 私達の研究(171)
赤痢菌による自然免疫抑制戦略の解明
Study of Shigella stratagem to circumvent host innate immune system
芦田浩
1
,
鈴木敏彦
2
,
笹川千尋
3
Ashida Hiroshi
1
,
Suzuki Toshihiko
2
,
Sasakawa Chihiro
3
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科細菌感染制御学分野 准教授/千葉大学真菌医学研究センター 客員准教授
2東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科細菌感染制御学分野 教授
3千葉大学真菌医学研究センター センター長/一般財団法人日本生物科学研究所 理事長
キーワード:
赤痢菌,エフェクター,自然免疫
Keyword:
赤痢菌,エフェクター,自然免疫
pp.133-140
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201706133
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生体は病原細菌の感染に対して免疫応答の発動により感染を防御する。感染初期に,菌の侵入を感知,増殖を阻止する自然免疫系の発動と,それに続き誘導される獲得免疫系の発動は菌の感染阻止に不可欠である。これに対し赤痢菌をはじめとする多くのグラム陰性病原細菌は,Ⅲ型分泌装置と呼ばれる特殊なタンパク分泌装置を介して一群の病原因子(エフェクター)を宿主細胞に分泌し,細胞機能を菌にとって有利なものへと修飾することで,感染にともない誘導されるさまざまな自然免疫応答を回避・抑制する。本稿では「赤痢菌による自然免疫抑制戦略の解明」に焦点を当て,我々が明らかにした菌と宿主自然免疫応答との攻防に関する知見を紹介する。