原著
赤痢菌保有者の処置について
高木 剛一
1
,
中西 弘毅
1
1東京都下谷保健所
pp.504-506
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202316
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I.緒言
消化器伝染病のうちで,赤痢は非文明国の代名詞でもある。日本は本疾患の流行が,跡を絶たない現状であることは,誠に悲しい極みである。赤痢の流行は戦前では夏期に流行して,秋から冬にかけて終熄するとされていた。然るに冬でも最近は流行を見るようになつた。昭和35年2月宮城県柴田郡村田町の赤痢患者の集団発生は保菌者を含めて1063人に達している。原因と思惟されるものに,同町上水道貯水池付近で,赤痢患者の汚物を洗つたものがありとのことである。患者ばかりでなく,保菌者でもこのようなことが想定される。余は昭和30年以来,赤痢患者,同菌保有者について疫学的にその実態を調査し,これが対策について発表してきた(1)(2)(3)。
この度食品取扱者(作業所は1カ所)824名につき検便し,赤痢菌保有者を回をかさねる毎に発見したので,これが原因を追求し,その対策を講じて,いささか知見を得たのでここに報告する。
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