増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法
グラム陰性桿菌
赤痢菌—Shigella spp.
磯崎 将博
1
1天草地域医療センター検査部
pp.303-305
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208301
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Summary
赤痢菌(Shigella属)は細菌性赤痢の原因菌であり,1898年に志賀潔によって発見され,その名にちなんでShigellaという属名が付けられた.日本国内における細菌性赤痢患者数は,戦後しばらくは10万人を超え,毎年2万人近くが死亡していたが,1974年に2,000人を割り,現在まで徐々に減少傾向にある.近年の患者数は100〜200人程度で,日常検査でもあまり遭遇することのない比較的まれな細菌になりつつある.最近の報告例の約半数は,インド,インドネシア,タイなど,主にアジア地域からの輸入感染例が占めている.しかし,まれに国内で大規模集団感染を起こすこともあるため,決して見落としてはならない重要な細菌の1つである.そこで本稿では,Shigella属の基本的な特徴や培養・同定方法について解説する.
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