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赤痢菌の國際分類について
福見 秀雄
1
1豫防衞生研究所
pp.14-16
発行日 1951年7月15日
Published Date 1951/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200873
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赤痢菌の分類ほど國際的にも國内的にも統一されがたかつたものも少ないであろう。併し國内的にはいわゆる赤痢菌日本學振分類法が出來てから一般にこれが採用されて,統一された觀があつた國際的赤痢菌分類法は併しながら,第二次世界戰爭の目隠し時代に日本の學界とは全く無關係に進行しつつあつた。
かえり見ると,赤痢菌の國際分類法としては,Andrewes and Inman1)のものがあまりにも有名であつた。勿論これはいわゆるマンニツト分解菌今日言うSh. flekneriにかぎられてはいるがこのことは併し許される。というのは,赤痢菌の分類について議論の別れるのは主としてSh. flexneriの細分であるから,それ以外の赤痢菌は,志賀菌,シュミッツ菌及び今日いわゆるLarge-Sachs群赤痢菌といつているいわゆるマンニツト非分解赤痢菌をそういうものとして一纏めにすることは異論はあるまいし,大原菌を他のものから獨定させることも當然のことであろう。Sh. alkalescen及びSh. disparを赤痢菌の中にいれるかどうかは勿論議論のあるところで,Sh. alkalescenと同じものである三方菌2)3)が日本學振分類法制立の時にも問題となつたのと軌を一にしているところで,これらの菌の病原性に關する疑義と,生物學的性状がむしろ大腸菌に近い點等から赤痢菌の中にいれたくないとする議論もまた成りたつのである。
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