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特集 国際的に脅威となる感染症
10.エンテロウイルスD68(EV-D68)感染症
Enterovirus D68(EV-D68)
押谷仁
1
Oshitani Hitoshi
1
1東北大学大学院医学系研究科微生物学分野 教授
キーワード:
エンテロウイルスD68
,
喘息
,
急性呼吸器感染症
,
急性弛緩性麻痺
Keyword:
エンテロウイルスD68
,
喘息
,
急性呼吸器感染症
,
急性弛緩性麻痺
pp.97-103
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201702097
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エンテロウイルスD68(EV-D68)は1962年にはじめて分離されたウイルスであるが,その後,非常にまれにしか検出されてこなかったウイルスである。しかし,2000年代後半から,急性呼吸器感染症,特に下気道感染や喘息の急性増悪の症例からEV-D68が検出されるとする報告が世界各地からなされるようになる。2014年には北米で大規模なEV-D68の流行が起き,重症急性呼吸器感染症だけではなく急性弛緩性麻痺と関連している可能性が指摘され,さらに大きな注目を集めるようになる。わが国においても2015年にこれまでよりも規模の大きな流行が起き,この流行期に一致して急性弛緩性麻痺の症例が多く検出された。しかし,EV-D68が急性弛緩性麻痺の直接の原因なのかどうかについてはさらなる検討が必要である。