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特集 市中感染型MRSAの動向と対処法
2.市中感染型MRSAの病原性 -PVLの毒性とファージ-
Pathogenicity of community acquired MRSA -Virulence of PVL, and PVL-carrying phages-
金子淳
1
,
神尾好是
2
Kaneko Jun
1
,
Kamio Yoshiyuki
2
1東北大学大学院農学研究科微生物機能開発科学講座 准教授
2東北大学 名誉教授/尚絅学院大学 名誉教授
キーワード:
PVL
,
二成分性βバレル膜孔形成毒素
,
溶原化ファージ
,
ファージ変換
Keyword:
PVL
,
二成分性βバレル膜孔形成毒素
,
溶原化ファージ
,
ファージ変換
pp.40-49
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201405040
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Panton-Valentine leukocidin(PVL)は黄色ブドウ球菌が産生する二成分性膜孔形成毒素ファミリーに属する白血球崩壊毒素である。PVLは当初,皮膚・軟部組織感染巣より分離されたMSSA(メチシリン感性黄色ブドウ球菌)で発見された。その後,近年,米国を中心に問題となっている市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(CA-MRSA)がPVLを高率で保有することが見出され,CA-MRSAのもつ高い病原性の要因のひとつであると考えられている。一方,PVLの遺伝子は溶原化ファージのゲノム上にコードされており,ファージの感染,溶原化によって水辺伝播する。これは,ファージ変換により新たなPVL陽性MRSAが出現する可能性を示している。本稿では二成分性毒素の作用機構とPVLの特徴,およびPVL保有ファージ群によるPVL遺伝子の水辺伝播について解説する。