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連載 私達の研究(162)
難治性呼吸器感染症の病態解明と抗菌薬のみに依存しない新規治療戦略の開発
Investigation of the mechanism of the severe respiratory infection and approaches for establishing the antimicrobials-independent, novel therapeutic strategy
中村茂樹
1
,
宮﨑義継
2
Nakamura Shigeki
1
,
Miyazaki Yoshitsugu
2
1国立感染症研究所真菌部 主任研究官
2国立感染症研究所真菌部 部長
キーワード:
Host-Pathogen Interaction,肺炎球菌,インフルエンザ菌,腸内細菌
Keyword:
Host-Pathogen Interaction,肺炎球菌,インフルエンザ菌,腸内細菌
pp.126-134
発行日 2016年8月25日
Published Date 2016/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201609126
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昨今の優れた抗菌薬の登場や診療ガイドラインの拡充により呼吸器感染症診療の質は確かに向上した。しかし一方,肺炎はわが国の死因第3位となり,日和見感染や耐性菌感染などの難治性感染症が増加する中で,呼吸器感染症の治療法には新たなイノベーションが求められている。感染症を発症するためには病原体が自然免疫を回避し宿主内で増殖することが必要である。我々はおもに「Host-Pathogen Interaction」の観点から感染症の発症・重症化にかかわる宿主因子・病原因子を同定し,免疫賦活や病原性制御による新規治療戦略の確立を目指した研究を行っている。本稿では特に,① 肺炎球菌の鼻咽頭粘膜におけるクリアランス機序の解明,② インフルエンザ菌の侵襲性に関与する病原因子の同定,③ 二次性肺炎球菌性肺炎発症のメカニズム解析,④ 自然免疫賦活による新規感染症治療法の4つの研究についてご紹介したい。