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連載 私達の研究(178)
重症呼吸器感染症の病態解明と新規治療法の可能性
Novel pathogenic mechanism and therapeutic approach to severe respiratory infection
青柳哲史
1
,
川上和義
3
,
Theodore J
4
,
賀来満夫
2
Aoyagi Tetsuji
1
,
Kawakami Kazuyoshi
3
,
J Theodore
4
,
Kaku Mitsuo
2
1東北大学大学院医学系研究科総合感染症学分野 講師
2東北大学大学院医学系研究科総合感染症学分野 教授
3東北大学大学院医学系研究科感染分子病態学分野 教授
4University of Michigan, Pulmonary and Critical Care Medicine Professor
キーワード:
急性肺傷害(ALI/ARDS),Lipopolysaccharide,Influenza virus,自然免疫細胞,IL-36サイトカイン
Keyword:
急性肺傷害(ALI/ARDS),Lipopolysaccharide,Influenza virus,自然免疫細胞,IL-36サイトカイン
pp.107-116
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201801107
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急性肺傷害(ALI)と重症型の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は肺の過剰な炎症と血管透過性亢進が特徴で,有効な治療法は少なく死亡率も高い。H5N1 influenza virusや2009H1N1 pandemic influenza virusなど,新興呼吸器ウイルスや高齢者で増加している肺炎がALI/ARDSの原因となることもある。呼吸器感染症の重症病態であるALI/ARDSのメカニズム解明と新規治療法の確立は医学的に非常に重要な事項である。本稿では,これまで筆者らが行ってきた研究:①自然免疫細胞のひとつnatural killer(NK)T細胞に着目した新規ALI/ARDS動物モデル作成・重症化への関与・新規治療法の可能性,②近年発見されたIL(interleukin)-1ファミリーサイトカインのひとつIL-36サイトカインに着目したinfluenza virus誘発ALI/ARDSの病態解明について解説する。