Japanese
English
特集 消化管感染症の発症メカニズム
6.クロストリジウム・ディフィシル
Clostridium difficile
神谷茂
1
Kamiya Shigeru
1
1杏林大学医学部感染症学 教授
キーワード:
Clostridium difficile
,
芽胞
,
トキシン
,
腸内フローラ
Keyword:
Clostridium difficile
,
芽胞
,
トキシン
,
腸内フローラ
pp.72-80
発行日 2016年8月25日
Published Date 2016/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201609072
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Clostridium difficileは抗菌薬関連下痢症(antibiotic-associated diarrhea:AAD)や偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis:PMC)の原因となる。C. difficile感染にかかわる病原因子は多数存在するが本菌の毒素産生能がもっとも重要である。エンテロトキシン活性をもつトキシンAは腸管上皮細胞の透過性亢進作用や神経ペプチドを介した下痢原性をもち,トキシンBは強いサイトトキシン活性をもつ。両トキシンによる腸管上皮細胞のタイトジャンクション障害,炎症反応カスケードの活性化,活性酸素産生誘導,アポトーシス誘導などの作用の結果,偽膜が形成される。21世紀初頭より欧米では第3の毒素と言われるバイナリートキシンを産生する強毒性菌株によるアウトブレイクが起こった。本トキシンはADP(アデノシン二リン酸)リボシル化作用および下痢惹起能を有する。本菌による病態発現は多因子的に起こる。