特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査
各論
2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御
1) 細菌 クロストリジウム・ディフィシル
神谷 茂
1
Shigeru KAMIYA
1
1杏林大学医学部感染症学
キーワード:
クロストリジウム・ディフィシル
,
トキシン
,
ディフィシル菌関連下痢症
Keyword:
クロストリジウム・ディフィシル
,
トキシン
,
ディフィシル菌関連下痢症
pp.1355-1359
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102123
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はじめに
ディフィシル菌(クロストリジウム・ディフィシル:Clostridium difficile)はグラム陽性の偏性嫌気性細菌であり,当初培養が困難(difficult)なことより,Clostridium difficileと命名された.本菌はトキシンA,トキシンB,バイナリートキシンなどの種々の毒素を産生する.感染症治療の際に抗菌薬が投与され,腸内フローラが撹乱されることにより,本菌の異常増殖と上記トキシンの産生により,抗菌薬関連下痢症(antibiotic-associated diarrhea;AAD)や偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis;PMC)などのディフィシル菌関連下痢症(C. difficile-associated diarrhea;CDAD)を引き起こす.
本稿ではディフィシル菌の細菌学的性状や同感染症の臨床を解説するとともに,強毒型ディフィシル菌の欧米における流行を紹介し,施設内感染対策を論じる.
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