Japanese
English
特集 食の安全と微生物汚染
9.リステリアによる食中毒の世界的動向と病原性
The global burden of listeriosis and the pathogenicity of Listeria monocytogenes
河村伊久雄
1
Kawamura Ikuo
1
1京都大学大学院医学研究科微生物感染症学 准教授
キーワード:
: リステリア
,
食中毒
,
敗血症
,
髄膜炎
,
周産期リステリア症
Keyword:
: リステリア
,
食中毒
,
敗血症
,
髄膜炎
,
周産期リステリア症
pp.88-94
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201604088
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
ヒトのリステリア症は,リステリアに汚染した食品を摂取したために起こる食中毒である。原因菌であるリステリアは自然界に広く分布しており,低温で増殖可能なことや高度食塩耐性を示すことから,感染を予防することは難しい。リステリアによる食中毒の発生頻度は決して高いわけではないが,高齢者,基礎体力・免疫力の落ちたヒトや妊婦では重症化することが多く,敗血症や髄膜炎になる。また,妊婦が感染した場合には,流産・死産を起こし,生まれても新生児のうちに死亡する割合や,子どもに神経障害が認められる割合が高い。わが国のリステリア症の発症率は今のところ欧米に比べると低いが,日本人の食生活が欧米化している現状から,今後は汚染食品の流通を未然に防止することが重要である。