Japanese
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特集 食の安全と微生物汚染
1.総論 食品の微生物汚染と食を介する感染症
Pathogenic microorganisms food poisoning and foodborne infection
五十君靜信
1
Igimi Shizunobu
1
1国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部 部長
キーワード:
: 食中毒統計
,
細菌性食中毒
,
ウイルス性食中毒
,
HACCP管理
Keyword:
: 食中毒統計
,
細菌性食中毒
,
ウイルス性食中毒
,
HACCP管理
pp.24-31
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201604024
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厚生労働省の示す食中毒統計の近年の食中毒事件数や患者数を見ると,細菌性食中毒では患者数・事件数ともに減少している傾向がみられる。食品の微生物制御については,期限表示やPL(製造物責任)法などにより食品メーカーの責任が明確に求められるようになっており,国際整合性の観点からハサップ(Hazard Analysis and Critical Control Point:HACCP)などの工程管理の導入が進められている。このような背景から,食品の病原微生物汚染の実態は総じて以前に比べ改善されている。しかし,腸管出血性大腸菌やカンピロバクターなど,比較的低い菌数で発症する細菌性食中毒とウイルス性食中毒,特にノロウイルスを原因とする食中毒については,現在も明らかな減少傾向はみられていない。また,消費者の嗜好の変化や健康志向から,食品の低塩化や添加物の使用を控えた多様な食品が販売されるようになり,一部の食品では微生物学的危害を起こしかねない状況となっている。さらに,わが国の食文化でもある“和食”における生食の対象となる食品の範囲は拡大しており,このような生食という食習慣と食品衛生を両立させていくことも重要となっている。