今月の主題 食中毒,その発症をめぐって
話題
鶏卵を介するSalmonella Enteritidis食中毒
中村 明子
1
Akiko NAKAMURA
1
1共立薬科大学
キーワード:
SE食中毒の臨床症状
,
感染型食中毒
,
In Egg型汚染
,
予防のポイント
,
SEワクチン
Keyword:
SE食中毒の臨床症状
,
感染型食中毒
,
In Egg型汚染
,
予防のポイント
,
SEワクチン
pp.495-500
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101179
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1. はじめに
Salmonella Enteritidis(以下SE)を原因とする食中毒は,1985~1986年にかけて英国で急増し,またたく間に世界各国に拡がった.わが国でも1989年以降,諸外国と同様に鶏卵が原因とみられるSE食中毒が多発している.SE検出状況の推移をみると,1989年に急増したSEは1996年をピークとしてその後は減少傾向にある(図1).SEの減少傾向がみられるものの,2001年の厚生労働省食中毒統計によると,細菌性食中毒で2人以上の発生をみた638件のうち,サルモネラ属菌による食中毒は201件(患者数4,789名)で依然としてトップの座を占めており,全国で検出されたサルモネラ血清型に占めるSEの割合は,2000年55%,2001年53%,2002年60%で,SEは現在日本において最も高頻度に分離される血清型であるのが明らかである(図2).
本稿では,SEの病原性,SE急増の原因,SE対策の現状について述べる.
わが国におけるサルモネラの発生状況は,全国の地方衛生研究所および保健所(以下地研・保健所)から国立感染症研究所感染症情報センターに報告され,病原微生物検出情報として集計されている.本稿で用いるSEに関するデータは,主としてこの情報をもとに作成したものである.
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