Japanese
English
特集 感染症における新薬開発のジレンマと展望 -日本が先駆者となるために-
1.抗菌薬開発の歴史
Development of antibacterial agents in Japan
八木澤守正
1
Yagisawa Morimasa
1
1慶應義塾大学薬学部医薬品開発規制科学講座 共同研究員
キーワード:
合成抗菌薬
,
抗生物質医薬品
,
抗菌薬の系統
,
耐性菌感染症
,
抗菌薬評価法
Keyword:
合成抗菌薬
,
抗生物質医薬品
,
抗菌薬の系統
,
耐性菌感染症
,
抗菌薬評価法
pp.25-30
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201601025
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抗菌薬開発におけるわが国の先駆的な業績をたどると,世界初の抗菌薬であるサルバルサンの創薬にはじまり,サルファ剤,ニトロフラン剤やキノロン系合成抗菌薬の領域において,わが国の研究開発の成果が世界的に評価されてきたことが知られる。抗生物質医薬品の領域では,さらに高い評価を受けており,わが国オリジンの,β-ラクタム系,アミノグリコシド系およびマクロライド系抗生物質が世界各国において標準的な感染症治療薬として臨床使用されてきている。ところが21世紀を迎える頃から,わが国の先駆的な抗菌薬開発は停滞しはじめ,現在ではその機運はまったく失われてしまっている。世界的に耐性菌感染症が深刻な問題となっている今日,耐性菌に有効な新規抗菌薬の創製に向けて,わが国がふたたび先駆的な研究開発を遂行することが望まれている。