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特集 感染症における新薬開発のジレンマと展望 -日本が先駆者となるために-
3.抗菌薬の開発環境の課題
An environmental problem in the development of the antimicrobial agent
岩田敏
1
Iwata Satoshi
1
1慶應義塾大学医学部感染症学教室 教授
キーワード:
抗菌薬
,
創薬推進
,
新薬開発
,
耐性菌感染症
Keyword:
抗菌薬
,
創薬推進
,
新薬開発
,
耐性菌感染症
pp.38-45
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201601038
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わが国においては1970~1980年代にかけて,β-ラクタム系薬を中心に多くの抗菌薬が開発されたが,その後,新規抗菌薬の開発は激減している。新規に開発を求められる薬剤は,耐性菌感染症などの限られた感染症を対象としたものが多く,そのような抗菌薬は市場規模が小さく,開発コストと販売後の収入のバランスの悪いことが新規抗菌薬開発の停滞の一因となっている。対策としては,創薬のための産官学による科学的・経済的基盤の整備,効率の高い創薬や承認申請・審査の検討,バランスの取れた薬価算定の仕組みの構築,先発医薬品メーカーに与えられるインセンティブの見直しなどが必要であると考えられる。