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連載 薬物臨床薬理事典(5)
新規多剤耐性結核治療薬 -デラマニド(デルティバ®錠)-
A novel anti-tuberculosis drug for MDR/XDR-TB -Delamanid(Deltyba)-
松本真
1
,
下川義彦
2
,
木下明督
3
Matsumoto Makoto
1
,
Shimokawa Yoshihiko
2
,
Kinoshita Mitsuyoshi
3
1大塚製薬株式会社微生物研究所 所長
2大塚製薬株式会社徳島研究所 研究員
3大塚製薬株式会社抗結核プロジェクト グローバルプロジェクトコーディネーター
pp.108-119
発行日 2015年7月25日
Published Date 2015/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201508108
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多剤耐性結核の出現と蔓延が,WHOが進めている世界の結核治療をより困難にすると予測されている。このような状況の中で,およそ40年ぶりの新薬となる多剤耐性結核症治療薬として新規薬理作用をもつデラマニド(デルティバ®錠)がわが国で承認された。本薬は,既存の抗結核薬に耐性を示す結核菌に対しても感受性菌同様の活性を示し,ヒト肝代謝酵素の阻害および誘導作用がきわめて少ないことから,薬物相互作用も少ない薬剤であると考えられる。多剤耐性結核菌に感染している結核患者を対象としたヒト臨床試験においては,現状の最適療法に本剤を加えることで,最適化療法のみに対し有意に喀痰中菌陰性化率を向上させることが無作為化プラセボ対照二重盲検試験で確認された。本稿では,デラマニドの基礎・臨床で確認されているプロファイルについてまとめた。