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特集 岐路に立つ臨床研究 -新たな品質管理基準の動向-
8.~緊急提言~ 保険適用外診療行為・禁忌薬使用など,安全性の確認されていない医療行為を行う際の倫理的手続きのあり方
Ethical procedures for carrying out a medical procedure of which safety has not been confirmed
長尾能雅
1
Nagao Yoshimasa
1
1名古屋大学医学部附属病院 副病院長/医療の質・安全管理部 教授
キーワード:
安全性の確認されていない医療行為
,
倫理的手続き
,
東京女子医科大学病院
,
千葉県がんセンター
,
群馬大学病院
,
院内医療事故報告制度
Keyword:
安全性の確認されていない医療行為
,
倫理的手続き
,
東京女子医科大学病院
,
千葉県がんセンター
,
群馬大学病院
,
院内医療事故報告制度
pp.86-90
発行日 2015年7月25日
Published Date 2015/7/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201508086
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平成26年(2014年),東京女子医科大学病院,千葉県がんセンター,群馬大学病院において重大な医療事故が発生していたことが明らかとなった。これらの事故は禁忌薬の投与や保険適用外診療といった,安全性が十分に確認されていない診療行為にともなって発生したものであり,いずれもメディアを通じて大きく報道され,国民に先進医療に対する強い疑念と不安を抱かせる事態を招いた。3事例において,それぞれ外部の専門家を交えた事例調査が行われた(平成27年〔2015年〕7月1日現在,群馬大学病院事例は調査継続中)1)~3)。また,厚生労働省は同調査結果や立ち入り検査の結果をふまえ,平成27年(2015年)6月1日,東京女子医科大学と群馬大学病院に対して,特定機能病院承認の取り消しを決定した。国立大学医学部附属病院の特定機能病院取り消しは前代未聞であり,事態の深刻さを象徴している。筆者は3件の事例調査に外部調査委員として関与する機会を得た。調査によって明らかとなった共有すべき課題について,許される範囲でこの場を借りて報告し,安全性の確認されていない医療行為のあり方について提言を行いたい。