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特集 プラスミドによる薬剤耐性の菌種間伝播と施設内感染-そのサーベイランス・感染管理の在り方-
3.グラム陰性菌におけるプラスミド媒介性の薬剤耐性の特長 1)β-ラクタム系薬耐性
Resistance to β-lactams
長野則之
1
,
長野由紀子
2
Nagano Noriyuki
1
,
Nagano Yukiko
2
1信州大学大学院医学系研究科医療生命科学分野 教授/国立感染症研究所細菌第二部 協力研究員
2国立感染症研究所細菌第二部 協力研究員
キーワード:
ESBL
,
プラスミド性AmpC
,
カルバペネマーゼ
Keyword:
ESBL
,
プラスミド性AmpC
,
カルバペネマーゼ
pp.83-92
発行日 2015年6月25日
Published Date 2015/6/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201507083
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ペニシリンの発見にはじまるβ-ラクタム系薬の開発の歴史は目覚ましく,化学修飾を主軸とした抗菌力の強化,抗菌スペクトルの拡大化などが図られていった。しかしながら,この開発の歴史は,薬剤耐性菌の出現,進化の歴史と表裏一体をなす戦いの歴史とも言える。β-ラクタム系薬は細菌の細胞壁合成に関与するペニシリン結合タンパク質のトランスペプチダーゼ機能を特異的に阻害する。したがって,細菌に対する選択毒性がきわめて高い,すなわち,副作用が少なく安全性が高いこと,また,殺菌的に作用する特徴を有する。それ故,β-ラクタム系薬は入院患者に投与される抗菌薬の大半を占めるなど,細菌感染症治療においてもっとも汎用されてきている抗菌薬であるが,その使いやすさが臨床の現場で濫用を招き,今日の世界規模での薬剤耐性菌問題につながってきている。本稿ではプラスミド媒介性のβ-ラクタム系薬耐性について概説する。