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特集 わが国でも問題のベクター媒介性感染症
4.ウエストナイルウイルス比較進化論
Evolution of West Nile virus
高崎智彦
1
Takasaki Tomohiko
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部第二室 室長
キーワード:
ウエストナイルウイルス
,
日本脳炎ウイルス
,
不顕性感染
Keyword:
ウエストナイルウイルス
,
日本脳炎ウイルス
,
不顕性感染
pp.52-57
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201402052
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ウエストナイルウイルス(WNV)はフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスで,蚊によって媒介される。1937年にアフリカのウガンダで発熱患者から発見され,1999年には米国で初めて患者が報告された。ヒトにおける病態は非致死性の急性熱性疾患であるウエストナイル熱と,脳炎,髄膜炎,脊髄炎などの中枢神経系の症状を呈するウエストナイル脳炎がある。北米での主たる媒介蚊は,アカイエカ(Culex. pallens),ネッタイイエカ(Cx. quiquefasciatus), Cx. restuans, Cx salnarius, Cx. talsalisなどイエカ属の蚊であるが,媒介可能な蚊は60種以上である。米国での患者数は1999年以降2007年までに2万7千人以上であり,カナダでの患者数も2002年以降,4,600人以上の患者が報告されている。わが国においても2005年9月に米国渡航者によるウエストナイル熱の輸入症例が初めて確認された。2003年のテキサスとメキシコでの分離株の中には弱毒株が存在することが報告されている。米国のウエストナイル熱症例の報告は減少傾向にあるが中枢神経症状を呈する症例の割合が増加し,この傾向はギリシャなどヨーロッパの流行でも同様である。