Japanese
English
特集 神経感染症の新しい展開
1.ウエストナイル熱・脳炎
West Nile Fever and West Nile Encephalitis
倉根 一郎
1
Ichiro Kurane
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部
1Department of Virology 1, National Institute of Infectious Diseases
キーワード:
West Nile virus
,
West Nile fever
,
West Nile encephalitis
,
flaccid paralysis
Keyword:
West Nile virus
,
West Nile fever
,
West Nile encephalitis
,
flaccid paralysis
pp.547-552
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100192
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はじめに
ウエストナイルウイルスは蚊によって媒介されるフラビウイルスである。フラビウイルスはフラビウイルス科,フラビウイルス属に属するウイルス群の総称である。フラビウイルス73種のうち34種はヒトに疾患を起こすことが知られているが,フラビウイルスの多くは野鳥,哺乳類を自然宿主とし,蚊あるいはダニにより媒介される節足動物媒介ウイルス(アルボウイルス)である。通常,ヒトは終末宿主であり感染源となることはない1)。
ウエストナイルウイルスは自然宿主であるトリと蚊の間で感染環が形成され維持されている(図1)。これまでに感染が確認された鳥類の種類は300種以上におよぶ。多くの種類のトリは感染後高いウイルス血症を示し,そのトリを吸血した蚊が感染する。高いウイルス血症を示すことが,この感染鳥を吸血した蚊が感染する理由といえる。成熟蚊の越冬,経卵性伝播によるウイルスの維持の報告もあるが,自然界におけるウエストナイルウイルスの維持に果たす役割は明らかではない2)。
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