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特集 トラベルメディスンのすすめ
ミニレクチャー
ウエストナイル熱
West Nile fever
伊藤 美佳子
1
,
高崎 智彦
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部
pp.513
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100962
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節足動物媒介性ウイルス(アルボウイルス)による感染症のなかで,とくに蚊によって媒介される感染症が,近年世界的規模で大きな問題となっている.その1例としてウエストナイル熱があげられる.ウエストナイルウイルスの感染環は鳥と蚊,とくにCulex(イエカ属)によって維持されている1).従来,アフリカ,ヨーロッパ,アジアでの流行が報告されていた.しかし1999年,西半球では初めてニューヨークにおいて確認され,その後瞬く間にその感染地域が拡大した.
従来,鳥は感染しても無症状あるいは稀にしか発症しないとされていたが,北米の流行では感染鳥の発症や死亡が起こっており,さらにヒトやウマにおける流行,重篤な脳炎患者2, 3)が報告されている.ウエストナイルウイルスに感染する野鳥の種類は米国では200種以上であった.ヒトやウマ,その他の哺乳動物は終末宿主であり,ヒトにおいては低レベルのウイルス血症が存在するのみである.したがって,ヒトから蚊への感染の可能性は低い.一方,米国においては臓器移植,輸血による感染が確認され,死亡例も発生している.
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