特集 人と動物の共通感染症・2 BSEを中心に
ウエストナイル熱の現状と対策
倉根 一郎
1
1国立感染症研究所ウイルス第1部
pp.870-873
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100500
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ウエストナイル熱
ウエストナイル熱は節足動物媒介性ウイルス(アルボウイルス)であるウエストナイルウイルスにより引き起こされる急性熱性疾患である.ウエストナイルウイルスはフラビウイルス科,フラビウイルス属に属しており,約11kbのプラス1本鎖RNAをゲノムとし,エンベロープを有する直径約50nmの球形のウイルスである1).
ウエストナイルウイルス感染の潜伏期間は2~14日(多くは2~6日)であり,通常39℃以上の発熱で発症する.他に頭痛,背部の痛み,筋肉痛,食欲不振,吐き気などの症状を有するが,これらの急性症状は3~6日で消失する.米国の患者では約20%に発疹が認められる.ウエストナイルウイルス感染者のうち症状を示すのは約20%であり,80%は不顕性感染である.多くは急性熱性疾患〔ウエストナイル熱(西ナイル熱)〕となる.
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