Japanese
English
特集 肺炎ガイドラインの現状と課題
2.院内肺炎 3)抗菌薬療法の実際
Antibiotic treatment of hospital-acquired pneumonia
仲松正司
1
,
藤田次郎
2
Nakamatsu Masashi
1
,
Fujita Jiro
2
1琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科)/感染対策室
2琉球大学大学院感染症・呼吸器・消化器内科学(第一内科)教授
キーワード:
肺炎重症度分類
,
アンチバイオグラム
,
De-escalation
,
Target therapy
,
抗菌薬併用療法
,
耐性菌
Keyword:
肺炎重症度分類
,
アンチバイオグラム
,
De-escalation
,
Target therapy
,
抗菌薬併用療法
,
耐性菌
pp.63-72
発行日 2013年4月25日
Published Date 2013/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201305063
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2008年に作成されたわが国の院内肺炎ガイドラインは初期抗菌薬を選択する際に,患者のバイタルサインや検査,画像により肺炎の重症度を分類し,初期抗菌薬を選択する点が特徴である。軽症群では単剤治療,中等度~重症群では緑膿菌や耐性グラム陰性桿菌を考慮に入れた併用療法が推奨されている。しかし,PK-PD(薬物動態学-薬動力学)理論に基づいた投与量・投与回数が行われないことがあること,微生物同定が困難なことが少なくないことが,わが国の問題点としてあげられる。また,近年では抗菌薬併用によるデメリットも報告されつつある。わが国のガイドラインも発行から5年を経過しており,今後,新たなエビデンスに基づいたガイドラインのアップデートが必要である。肺炎は耐性菌との戦いである。今後,耐性菌の増加や新規抗菌薬開発の停滞で肺炎治療がよりいっそう困難になっていくことが予想される。耐性菌の出現・増加を抑制することは肺炎の治療成績を向上させることにもつながる。耐性菌の産生,増加を抑止するためにも英知の所産である抗菌薬を「適切」に使用していく必要性がますます高まっている。