Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1.はじめに―抗菌薬の併用療法
今日,感染症を取り巻く状況はますます難しいものとなっている.その理由として,耐性菌の増加と蔓延の問題は重要であり,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)はもちろんのこと,最近では多剤耐性緑膿菌(multiple drug-resistant Pseudomonas aeruginosa;MDRP)やバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococcus;VRE)などの問題が大きく社会問題として取り上げられている.MDRPは,カルバペネム系薬,フルオロキノロン系薬,アミノグリコシド系薬の3剤に同時に耐性を示すことから,単剤による抗菌薬治療は困難である.
また,非定型病原体が関与する頻度の高い市中肺炎などにおいては,βラクタム系薬+マクロライド系薬,あるいはβラクタム系薬+フルオロキノロン系薬などの併用療法を余儀なくされる症例を経験する.日本呼吸器学会が発行している「成人市中肺炎診療ガイドライン」1)においても,ICUでの治療が必要となるような重症肺炎症例では1群(カルバペネム系薬,第3・4セフェム系薬+クリンダマイシン,モノバクタム+クリンダマイシン,グリコペプチド系薬+アミノグリコシド系薬)に2群(フルオロキノロン系薬,テトラサイクリン系薬,マクロライド系薬)の薬剤を併用して治療を行うことを推奨している.
本稿では,抗菌薬の併用療法の目的と意義,それが実施される状況について概説するとともに,MDRP感染症に対するオーダーメイド併用療法の可能性に関して,ブレイクポイント・チェッカーボード法について紹介する.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.