特集 高齢者と薬
抗菌薬
稲松 孝思
1
1東京都老人医療センター感染症科
キーワード:
感染症
,
抗菌薬
,
起炎菌
,
耐性菌
,
医療経済
Keyword:
感染症
,
抗菌薬
,
起炎菌
,
耐性菌
,
医療経済
pp.924-926
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100729
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Case
β-ラクタム薬が無効で,マクロライドが奏効した肺炎
患 者:72歳,男性.
既往歴:とくになし.猟犬飼育.
現病歴:発熱,筋肉痛にて近医を受診したが,経口セフェム剤は無効で,リウマチ性多発筋痛症を疑われて当院紹介となった.呼吸器症状は乏しいが,胸部X線にて肺炎像がみられた.第四世代注射用セフェム剤は無効.マイコプラズマ,オーム病CF抗体は検出不能.ペア血清で肺炎クラミジア抗体IgG上昇であった.マクロライド経口投与にて発熱,炎症反応,胸部X線像は軽快した.
高齢化社会の到来とともに,高齢者にみられる感染症に対して,生態学的視点も考慮した対応が必要となりつつある1).その意味も考えながら,高齢者に抗菌薬を投与する際に必要な以下の注意点について概略を述べる.①病態ごとに起炎菌の特徴を知り,それに見合った薬剤を選択すること,②抗菌薬の体内動態の特徴を知って用法・用量に反映させること,③副作用の特徴を知り,安全な投薬を心掛けること,④耐性菌蔓延の抑制に配慮すること,⑤包括的保険支払制度のなかで,経済的に効率のよい薬剤選択を心掛けること.
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