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特集 災害における感染症とその予防対策
6.震災後肺炎症例の実像と対応
Profile of the pneumonia after earthquake and tsunami, Japan, 2011
高橋洋
1
,
渡辺彰
2
Takahashi Hiroshi
1
,
Watanabe Akira
2
1宮城厚生協会坂総合病院呼吸器科・感染症科 科長
2東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門 教授
キーワード:
東日本大震災
,
モラキセラ
,
肺炎球菌
,
インフルエンザ菌
Keyword:
東日本大震災
,
モラキセラ
,
肺炎球菌
,
インフルエンザ菌
pp.57-64
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201303057
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東日本大震災後,塩釜~多賀城地区では成人の肺炎症例が急増し,患者数は震災発生後2週間目をピークとして震災前平均の4倍まで増加した。内訳としては典型的な細菌性肺炎症例が大多数を占めており,肺炎症例の死亡率や平均年齢は震災の前後においてほとんど差は認められなかった。起炎菌としては,インフルエンザ菌の喀痰分離率が震災前の約3倍,モラキセラの分離率が7倍まで急増し,肺炎球菌よりも明らかに増加するというこれまで報告されたことのない特殊な現象が確認された。また,肺炎球菌およびインフルエンザ菌のペニシリン感受性は震災後には一過性の改善傾向を示し,初期3週間はPRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)やBLPAR(β-ラクタマーゼ産生アンピシリン耐性)は一株も分離されなかった。