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特集 災害における感染症とその予防対策
5.東日本大震災の被災地でみられた肺炎を含む感染症の実態-津波および瓦礫処理による肺障害を含めて-
Respiratory Infection at the disaster base hospital in Ishinomaki
小林誠一
1
,
矢内勝
1
Kobayashi Seiichi
1
,
Yanai Masaru
1
1石巻赤十字病院呼吸器内科 部長
キーワード:
東日本大震災
,
肺炎
,
津波肺
,
瓦礫肺
Keyword:
東日本大震災
,
肺炎
,
津波肺
,
瓦礫肺
pp.51-56
発行日 2013年2月25日
Published Date 2013/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201303051
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宮城県石巻地域は東日本大震災でもっとも大きな被害を受けた地域のひとつである。石巻圏の医療機関のほとんどが津波被害によって診療不能になったが,災害拠点病院の石巻赤十字病院は津波被害を免れ,多数の傷病者の診療を行った。震災後の呼吸器内科入院患者数は例年よりも増加し,その半数を肺炎が占めた。患者は震災後2旬目にピークとなり,高齢者が多く,ADL(日常生活動作)が低下した者が多かった。津波肺が懸念されたが,その数は多くはなかった。通常の抗菌治療と口腔ケアを含めた誤嚥予防対策でほとんどの患者が改善した。抗菌薬に反応しない患者の中には粉塵吸入による肺障害が疑われた例があり,器質化肺炎と組織診断された。