第Ⅲ部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
認知症治療薬
池内健
1
1新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター・教授
pp.445-452
発行日 2019年1月31日
Published Date 2019/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201913445
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
現在は4種類の認知症治療薬が上市されており,それぞれの特徴を活かした認知症治療が行われている。これら認知症治療薬は症候改善薬であり,脳内の病理変化の進行を止めることは期待できない。アルツハイマー型認知症の分子病態を標的とした疾患修飾薬の開発が進んでおり,認知症患者やその前駆期の方を対象とした臨床試験が活発に行われている。主力の疾患修飾薬は,抗アミロイド抗体薬,βセクレターゼ阻害薬,抗タウ抗体薬である。疾患修飾薬を用いた治験は早期介入が重要であり,軽度認知障害やプレクリニカル(前臨床)期の被検者を対象とする治験デザインへとシフトしている。本稿では,認知症治療薬の最近のトピックスと,現在,治験が進行している疾患修飾薬について展望する。