第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
認知症治療薬
櫻井孝
1
1国立長寿医療研究センター・もの忘れセンター長
pp.541-546
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513541
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認知症が増加している。アルツハイマー型認知症(AD)の治療薬として,コリン仮説,グルタミン酸仮説に基づく薬物(ドネペジル,ガランタミン,リバスチグミン,メマンチン)が承認されている。しかし,これらの薬剤はいずれも対症療法の薬剤であり,根本治療薬ではない。一方,根本治療薬の治験は中止や不成功が続いている。これまでの根本治療薬の治験では,投与する時期が遅すぎたのではないかとの考えに基づき,バイオマーカーでAD病理が疑われる軽度認知障害,早期ADでの治験が進行している。根本治療薬の創薬として,アミロイド仮説,タウタンパク仮説,またミトコンドリアを標的にした治療薬の開発が行われている。さらに認知症リスクの高い遺伝子異常を有するものに対して,前臨床期AD(preclinical AD)から根本治療薬の効果を検証する試みも検討されている。(先制医療)。