第Ⅲ部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
パーキンソン病治療薬
前田哲也
1
,
鈴木啓生
2
,
高橋健太
2
,
山原可奈子
2
,
寺山靖夫
3
1岩手医科大学医学部内科学講座神経内科・老年科分野・特任准教授
2岩手医科大学医学部内科学講座神経内科・老年科分野
3岩手医科大学医学部内科学講座神経内科・老年科分野・教授
pp.453-459
発行日 2019年1月31日
Published Date 2019/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201913453
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パーキンソン病治療薬の領域では,2018年6月にラサギリンメシル酸塩(アジレクト(R))が上市された。本剤は先発のセレギリン塩酸塩(エフピー(R))と同様,選択的モノアミン酸化酵素B阻害薬であるが,化学構造にはアンフェタミン骨格を持たない。適応はパーキンソン病における早期の単独療法と,進行期のレボドパ配合薬との併用療法であることから,効能・効果には「パーキンソン病」と記載される。服用方法は漸増不要の単一用量で,1日1回内服する簡便な薬剤である。国外では既に10年余りの使用経験とエビデンスの蓄積があるが,本邦では2018年,ようやく臨床に供された。本稿ではラサギリンメシル酸塩の薬理学的特徴を示し,国内で行われた早期パーキンソン病および進行期パーキンソン病を対象とした,プラセボ対照二重盲検比較試験と,その後引き続き行われたオープン長期試験の結果を概説する。また,パーキンソン病治療薬には既に本邦で臨床試験を終了し,申請準備中の薬剤がいくつか控えている。これから上市されるであろうこれらの薬剤の紹介に加え,これからのパーキンソン病治療薬開発の方向性についても触れる。