特集 加速する核酸医薬開発
7.mRNA医薬の研究開発動向と将来展望
位髙啓史
1
1東京医科歯科大学生体材料工学研究所生体材料機能医学分野・教授
pp.627-632
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201902627
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mRNA医薬とは,メッセンジャーRNA(mRNA)を体内に直接投与して,mRNAによってコードされたタンパク質を標的細胞で発現させることで治療を行う医薬品である。近年では世界的に研究開発が活発化しており,近い将来の実用化が期待される。mRNAは核への輸送が不要で,ゲノムへの挿入変異リスクも無いため,安全性に優れる一方,mRNAは生体内では極めて不安定な物質であり,効率の良い生体内投与にはDDS(ドラッグデリバリーシステム)技術などの応用が不可欠である。mRNAは原理的にどのようなタンパク質でも産生することができ,その適応範囲は広いが,特に酵素補充療法や成長因子徐放などが最初の適応として有力視される。将来的には再生医療やゲノム編集治療への応用も期待される。