第Ⅲ部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
肺癌治療薬
原谷浩司
1
,
中川和彦
2
1近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門
2近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 主任教授
pp.532-538
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/1201813532
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肺癌診療は,毎年のように多くの新薬が次々と登場し,標準治療が年単位で目まぐるしく変わる領域である。特に進行・再発非小細胞肺癌においては,例えば3~4年前の知識をもって現在の標準的な一次治療や二次治療を行うことは,ほぼ不可能と言っても過言ではない。2016 年が肺癌領域において非常に豊作であったのと比較して,2017 年の新薬承認は少なく,本稿の執筆時点での2017 年中に,肺癌において初めて国内保険承認を受けた薬は存在しない。
本稿では,ROS1 融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対して適応拡大されたクリゾチニブに加えて,現在承認申請中である抗PD-L1(programmed cell death-ligand 1)抗体Atezolizumab,BRAF 阻害薬ダブラフェニブ,ダブラフェニブとの併用で承認申請中のMEK 阻害薬トラメチニブについて説明する。