第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
肺癌治療薬
宮内栄作
1
,
井上彰
2
1東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
2東北大学病院臨床試験推進センター・特任准教授
pp.352-360
発行日 2014年1月31日
Published Date 2014/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201413352
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2002年以降,gefitinib,erlotinib,bevacizumabなどの分子標的薬が上市され,肺癌治療は大きく変化した。さらに,EML4-ALK(echinoderm microtubule associatedprotein like 4- anaplastic lymphoma kinase)融合遺伝子陽性肺癌の発見を契機に,2012年には新たにcrizotinib(ザーコリ®)が承認され,今後も分子標的薬を軸とした個別化治療が進むことが予想される。その一方で,肺癌の個別化治療にはまだ限界もあり,従来の標準治療として用いられてきた殺細胞性抗がん剤による治療も欠かせない状況である。最近では従来の殺細胞性抗がん剤に有効性と利便性が加わった新たな薬剤の開発もみられている。今回は,アルブミン結合パクリタキセル(アブラキサン®),erlotinib(タルセバ®),afatinib,crizotinib,抗programmed cell death 1(PD-1)抗体,抗programmedcell death ligand 1(PD-L1)抗体を取り上げ,最近の知見について概説する。