第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け~新薬の広場~
■肺癌治療薬
杉浦真貴子
1
,
村上修司
1
,
山田耕三
2
1地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター呼吸器内科
2地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター呼吸器内科 部長
pp.330-337
発行日 2013年1月31日
Published Date 2013/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201313330
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近年,分子標的薬の開発により肺癌治療は大きく変化してきた。それは,gefitinib,erlotinibといったEGFR-TKI(上皮成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害薬)を進行した非小細胞肺癌の第一選択薬として使うことがガイドラインで推奨されるようになったことで,個別化医療への道がさらに開けた方向性が出てきたことによる。また肺癌の組織型判別も重要な個別化医療のキーポイントになってきている。
一方,2012年には新たにcrizotinib(ザーコリ®)が承認され,ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)陽性患者における治療手段が増えたが,さらなる新規治療薬の開発が望まれるところである。
今回は,現在承認申請中のアルブミン結合パクリタキセル(アブラキサン®),次世代EGFR-TKIとして注目されるafatinib,進行非小細胞肺癌の初回治療薬として期待されるS-1(TS-1;ティーエスワン®)の新しい知見について述べる。