特集 Cardio Oncologyの現状と課題~専門医からプライマリケア医まで考えるべきこと~
4.AC系薬剤および分子標的薬による心毒性・血管毒性の機序
赤澤宏
1
1東京大学大学院医学系研究科循環器内科学・講師
pp.2601-2607
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018122601
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がんの治療成績の向上に伴って,化学療法や放射線治療による心血管合併症が生命予後やQOL(quality of life)を左右する大きな要因となってきている。特に,AC(アントラサイクリン)系抗がん剤のように心毒性が古くから知られた薬剤に加えて,HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2)阻害剤や血管新生阻害剤,チロシンキナーゼ阻害剤,プロテアソーム阻害剤,免疫チェックポイント阻害剤など,分子標的薬による心血管系の副作用が問題となっている。がん化学療法による心血管系への影響は多岐にわたっており,その分子病態は不明な点が多く残されている。今後,腫瘍循環器学(Onco-Cardiology/Cardio-Oncology)の取り組みによって,発症メカニズムの基礎的検討がさらに進められていくことが期待される。