特集 Cardio Oncologyの現状と課題~専門医からプライマリケア医まで考えるべきこと~
3.抗がん薬の臨床薬理学~分子標的薬とその心毒性~
満間綾子
1
,
安藤雄一
2
1名古屋大学医学部附属病院化学療法部
2名古屋大学医学部附属病院化学療法部 教授
pp.2593-2599
発行日 2018年12月1日
Published Date 2018/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018122593
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がん患者の生存期間の延長,高齢化により心・血管障害の合併が増える中,血管新生阻害作用を有する分子標的薬に代表されるがん薬物療法によってリスクが高まる心毒性が問題となっている。頻度が高い高血圧症のほかに,一度発症すれば重篤な経過となり得る出血・血栓症,不整脈,心筋症など,薬剤によっても注意すべき心毒性は異なっている。患者背景,病態にも配慮した適切な対応,予防,教育への取り組みが注目されている。代表的な抗凝固薬であるワルファリンでは,分子標的薬と併用することが多い5-FU(フルオロウラシル)系抗がん薬との薬物相互作用を念頭におく必要がある。多職種によるチーム医療を進める上で,がん診療の現場で遭遇する注目すべき心毒性について概説する。